ぽけてん

someone in the crowd

ぽけっとてんてん

僕が初めてブログを開設したのは2014年3月らしい。当時はFC2ブログを利用していて、小説、映画、ゲーム、アニメの感想や旅行記を書いていた。思うと僕は随分と長い間文章を書いていることになる。自覚はなかったが僕は文章を書くのが好きなのかもしれない。 …

辺境の渚

その演奏は湖の底を思わせた。ゆっくりと底へ沈み込む感覚。静謐なベールが辺りを柔らかく覆う。間が思考を奪い去り、哀切を思わせる旋律が僕の身体を通り過ぎる。 空には淡いひつじ雲が広がっている。窓は空いていたが風はなく、調和的な空間がそこにあった…

【エール/ラガー】世界各国のビール_スタイル別分類表

えーどうも、ビール怪人、武田鉄矢です。 ビールを飲んだ瞬間、人は〈自由〉になります。いつだって我々はこのしゅわしゅわした飲料を欲し、どうしようもなく狂う。〈自由〉を求めていたはずが、気づくとこの飲料に囚われている。悲しい話だと思いませんか。…

果実の中の龍

夏の像が明確になればなるほど、僕から夏が遠のいていく。理想と現実の差、それは驚愕するほどの乖離があり、到底届きそうにない。 ある人は乖離を埋めるために行動すればいいじゃない、と言うかもしれない。しかし、現実は努力ではどうにもならないことが沢…

ワンダーランド-虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会-

虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会はどんな居場所か? 仲間であり、ライバル。作中でも語られた通り、同じくスクールアイドルとして志を持ちながらも、目指すステージはそれぞれ違う。それは初め確執の要因となった。意見の相違、価値観の乖離、同好会は空中…

Transit 9 hours

大きな窓からは現実感の欠けた空が見えた。染料が掠れたような空と引き伸ばされた雲。淡い陽光は弛緩した時間を照らした。 待合スペースには僕とグレーの制服を着た清掃員の男が一人いるだけだった。清掃員の男は大きなモップを規則的に動かし、右へ左へ移動…

後書きでごちゃごちゃ言ってるのが1番ダサい

Aqoursとして活動しながら、ユニット、さらにはソロ曲、多くの曲を作った彼女たち。特定の曲に対して彼女たちがどういう気持ちで作ったのかと考えるのは結構楽しい。 所謂、楽曲の背景みたいなのを書いてみたいと思い、何作かSSを書いた。迷走した作品もあっ…

日本語にない言葉たち

翻訳とは、ある言語を別の言語に移し替えることだ。文法の違いはあれど、ひとつの単語はまた別のひとつの単語に置き換えられる。けれど時折、適切な単語に置き換えられない場合がある。そんな翻訳の困難を「日本語にない」と表した。勿論、その単語が日本語…

ステージにのまれる-虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 4th Live! Love the Life We Live-

感情を言語化する行為ほど不毛なことはない。それを説明しようとした途端、偽物になる。感情は理屈ではない。その瞬間だけが現実なのだ。それでも僕は文章を書く。僕に出来ることといえば文章を書くくらいだからだ。以前より僕はライブは楽しいだけであって…

ビジネスダンス

僕は医薬品の安全性や有効性を調査する企業に勤めている。治験、つまり医薬品開発に携わる。 業務は製薬会社から受託する。受託範囲は様々だが、基本的には使用された治験薬のデータの解析が主な内容となる。 研究所で試験管を睨むわけでなければ、施設で患…

フライドプリンちゃん

●狂&狂ガキ顔と小動物顔は似て非なるものである。しかし、結果として僕を発狂させるという意味ではどちらも等しく破滅的訴求力を持つ。それでも僕はこれらを識別し、分類し、定義し、そして何度も初恋をする。いつだって僕は女の顔面に抗う。何故ならピカレ…

梅酒に合うつまみが存在しない

幼き頃、僕は食事に関心がなかった。食事は生命の維持活動でしかなく、誰かと食卓を囲む愉しさや味覚の悦びを知らなかった。学校の宿題と同じで決められた事項として捉えていた。「いただきます」の意味を理解したのは随分と後のことだった。その感覚は今で…

あの日見た海

遠くで揺れる陽光、じっとりとした松の香り、ローカル局のラジオ番組……何かしらがきっかけで、僕の身体は一瞬にしてあの青空の下に晒されることがある。10歳くらいの僕は海に訪れていた。空に屹然とする太陽は地面に濃い影を作り出し、吹き上げる海風は潮の…

なちゅねぼ

前髪が異常にうねることが最近の悩みだった。うちはサスケの人生くらいうねるのだ。誇りも意思も信条もない恥ずかしいサスケくんの人生が僕の前髪に乗っているのだ。 いつだったか伊達さゆりさんがいつも以上に前髪を巻いてみました〜と自撮りをあげていたが…

ニュンツ

ニュンツ パンツを買った。アマゾンで安いやつを。そもそもな話、パンツという代物は買い替え時がわからない。シャツやらなんやらはよれてくれば買い替える。パンツはよれてこようともそれが買い替える理由にはならない。外に見せるものでもない、破けない限…

素敵な空間

はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」 この前、会社の先輩が「趣味が出来た」と言っていた。普通、趣味くらい1つ2つは持っていると思うかもしれないが、その先輩は以前から自分には趣味がないと公言していたのだ。趣味がないから休日は買…

サマーコンプレックス

晒された 二の腕の上 日焼け跡 君と僕との 境界線かな 夏尾芭蕉 こんにちは、僕は今、小学3年生の夏休みの宿題の続きをやっています。これは清算であり、聖戦であり、青春であります。あの日置いてきてしまったものを取り戻さなくてはならないのです。 夏。 …

脱糞機構

朝起きて高速でマスターベーションこなし、苺ジャムを塗ったトーストを食べ、学ランを着る。学校へと続く上り坂の途中で広瀬すずのミニスカートをめくる。校門の前に小さな光がある。視界が真っ白になった。 朝起きて高速でマスターベーションこなし、ブルー…

This is IDOL-虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 3rd Live! School Idol Festival-

アイドルとはなにか?という命題に対して僕は極めて無力である。答えを探そうとすると深い森に迷い込んだような気分になる。多角的迷宮。それでも僕はアイドルのことを考え、深い森でため息をつく。何故アイドルはこれほどまで僕を狂わせるのか。たとえ目を…

シティポップのダサ帯

ツイートするには 長すぎる。ひとつのテーマとして扱うには薄すぎる。そんな雑念のまとめ。 ●シティポップのダサ帯Twitterにシティポップのダサ帯botというアカウントがある。名の通りシティポップのダサい帯を紹介するアカウントだ。 めちゃくちゃにダサい…

品格階級

会社の先輩に「服は普段どこで買っているの」と聞かれたことがある。そこはスペインバルで、テーブルにはアヒージョや生ハムが並んでいた。同じチームの人の昇進祝いを検討するために僕と先輩は集まっていたけれど、早々に話は雑談へと転がり始めていた。池…

【ApexLegends】レヴナント相関図

Apexは世界観が結構作りこまれていてストーリーもなかなか面白い。物語が進むごとにレジェンド同士の関係性が変わってくるのも見どころ。ということで、厨二病ゴキブリことレヴナント君を中心にレジェンド同士の相関図を作成してみたよん。 人造殺戮ゴキブリ…

たとえそれがエゴだとしても-重力ピエロ-

初めて伊坂幸太郎の重力ピエロを読んだのは10年も前のことになる。なかなかの年月が流れた。10年前の自分は10年後の未来なんて全く想像していなかった。初めて本作を読んでから今までに何回再読しただろうか。結構読み返したような気もするし、そうでないよ…

【ApexLegends】武器のモデルまとめ

Apexの武器のモデルになったと思われる実銃をまとめていくよ。といっても基本的に実銃のいくつかの要素が複合されていたりオリジナルの要素があったりで完全一致とはならないけど。 ヘムロック スピットファイア プラウラー ピースキーパー RE-45 モザンビー…

海を見るだけの休日-西浦-

目を閉じてどこまでも透き通った海をじっと想像する。寄せては返す波、ぱりっとした空気。海以外に何もない場所で静かに過ごしたい、そう思うようになったのは僕が幾分疲れていたからかもしれない。終わることのないタスクの山を地道に切り崩す作業、残業で…

追体験みたいな-虹ヶ咲スクールアイドル同好会-

アニメ「虹ヶ咲スクールアイドル同好会」の感想のようなもの 作品の感想を述べる時、僕は出来るだけ何かと比較せずに評価したいと思っている。相対的にこの作品のここが良いと言うのは確かに説得力のある感想にはなるのだが、なんだかそれは作品を見ているよ…

この世界は

先日、無事に引越しを終えることができました。エネルギッシュな人間なので業者に頼まず自分で物を運んだのだけどゲリほど疲れました。重いのもを運ぶという経験、もう一生しません。実際、現代社会において箸より重い物を持つことがどれだけ異様かをもっと…

Wednesday Lunch

水曜日の昼間になるといつも潮の香りを感じる。まっさらな展望の下、緩く曲線を描く水平線。低く並んだ積乱雲をじっと睨む。吹き抜ける風がどこか勇ましい。僕のいる場所こそが最果てであり、なおかつ全ての中心である。それは部分的に正解だし部分的に間違…

HAPPY BIRTHDAY RUBY 2020

想いは言葉にした途端、嘘っぽくなる。だから僕は本心をなるべく言葉にしないようにしている。想いは確かにあるはずなのにそれが形になった瞬間、イメージと齟齬が生まれてしまうのは不思議だ。前に進もうとしているのに見えない壁がある。それが無意識に作…

broccoli night

相席屋を後にした僕らは池袋で路頭に迷っていた。電飾を纏った看板が夜を濃くさせている。僕は路上に座り込み人の往来をぼんやりと観察し、松本はランチパックを齧りながらスマートフォンで何かを調べていた。ぼろい雑居ビルに切り取られた星のない夜空はな…