ぽけてん

オタクシグナル

創作

Wednesday Lunch

水曜日の昼間になるといつも潮の香りを感じる。まっさらな展望の下、緩く曲線を描く水平線。低く並んだ積乱雲をじっと睨む。吹き抜ける風がどこか勇ましい。僕のいる場所こそが最果てであり、なおかつ全ての中心である。それは部分的に正解だし部分的に間違…

Melody in the line

● 机上の散らばった楽譜を雑にどけてマグカップを置く。鯨が描かれたマグカップからふわりとインスタントコーヒーの香りが立ち上った。伸びてきた前髪を左に流し、ベージュのコーデュロイジャケットを着る。東京に越してきてもう2年になるが、やはり海のない…

白い塔

問いかけなければ答えは出ない。ベレー帽を被った熊が頭の中をぐるぐると回る。夜の学校は異様に静かで、虫の鳴き声が妙に大きく聴こえた。これは本当に届くのだろうか。そんな疑問が浮かんでは消え、次第に闇夜に溶けていった。 ●ライ麦畑でつかまえて ●デ…

UOを折ってみた

昔付き合っていた彼女の家にはレコードプレーヤーがあって、僕らはよくthe beach boysを聴きながら発泡酒をちびちびと飲んだ。 彼女は神保町でレコード盤を探す以外はずっと家で音楽を聴いていた。彼女の家の前に立つときまって一昔前の洋楽が聞こえてくる。…

満月、故

大学生の時、本屋でバイトをしていた。のどかなバイト先だった。穏やかな性格の人が多く、本当にストレスフリーな職場だった。 そんな中、少し変わった人がいた。名をゆきのさんと言う。フリーターで年は24,25くらいだと思う。 土日に僕はゆきのさんとシフト…