チューニング合わせて
「あなたの話を聞かせてよ」
私は人の話を聞くのが好きだ。その人が今までどんな経験をしてきたのか、その人が今どんな考え方を持ってるのか、そういう話を聞くのが好きだ。
人は1人として同じ人はいない。人の数だけ物語がある。
飲み会の席などでついつい私は聞いてしまうのだ、その人の経験を、その時その瞬間に、何を感じ何を思ったのかを。
ラジオという媒体はそういう私の願望を非常に高い水準で叶えてくれる。パーソナリティの紡ぐ言葉は電波に乗り夜のしじまを渡って私に届く。贅沢な時間が私を満たす。
とまぁラジオが素晴らしいと言っても私はどうしようもなくただのオタクだから今までに聞いてきたラジオの大体が声優関連だ。なので私は夜な夜な他人の人生相談に耳を傾けたり、過激な下ネタで爆笑したり、哲学的な話に唸り声をあげたりしていたわけではない。ただただ声優のわきゃわきゃトークに癒されていた。なんであれ人の内面が伺えるラジオという媒体が私は好きだという話だ。
ちなみに私がよく聞いていたラジオは「井口裕香のむ~~ん」、「阿澄佳奈 星空ひなたぼっこ」、「矢作・佐倉のちょっとお時間よろしいですか」、「アニゲラディドゥーーン」あたりだ。最近は芸人のラジオの方がよく聞く。
「LONELY TUNING」という楽曲がある。曲名を聞いた時、真っ先にラジオを思い浮かべた。今じゃ殆ど見られないが、少し前までは機器でチューニングをして漂う電波をキャッチすることでラジオを聞くのが一般的であった。夜更けに部屋で電波を合わせるためチューナーを微調整する作業は、畑亜貴の"微熱"観と非常に相性が良いなと感じた。
歌詞を言葉通りに受け止めれば、ラジオDJのように落ち込んでいる人を音楽で元気づけてあげたい、という様に受け止められる。
畑亜貴の"微熱"観に寄せて解釈をすれば、私の電波を受け取ってほしい、想い人に自分の気持ちを届けたいという恋に踏み出せない少女を想像することもできる。
この曲の主観である人物は「自分の想い」を届けられないでいる。その葛藤を描き出すのにラジオDJという題材を扱ったのは非常に上手いなと素直に感じた。
孤独なチューニング。
畑亜貴の作詞なのでどうも恋愛模様に捉えがちだが、別に恋愛だけに留まる話ではないだろう。情報が溢れかえるこの世の中で私の言葉はどれほどの価値があるのだろうか。私の言葉は誰かに届いているのだろうか。
閑話休題。
まぁ今回の記事はLONELY TUNINGの歌詞考察をしたかったわけでもラジオについて語りたかったわけでもないんです。社会人になって関わる人が変わっていく中で、色んな話を聞いて、やっぱ人の話を聞くって面白いなって感じだからつらつらと文章を書いてみたわけです。ただ冒頭の一文を言いたかっただけなんです。
短いけどもう締めようかな。ひとつ加えて。
あなたの話を聞かせてよ
そして
私の話を聞いてよ