ぽけてん

オタクシグナル

道はずっと続いている

 

 

突如、空は闇で覆われて、平和は瓦解する。深淵に君臨するは魔王。人々は希望を求める。立ち上がる1人の少年。険しく厳しい道のりの末、少年は魔王を倒し、世界に平和が戻る。よくある冒険譚。

 

 


私は思うのだ。勇気を胸に激動の日々を終えた少年にとって平和な世界は退屈ではないのかと。人は夢を叶えた後、何を思うのかと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラブライブサンシャインTVシリーズは全26話を通してずっと同じ問題提起をしていた。「輝きとは何か」と。最終話、主人公の高海千歌からその答えを提示される。

 

 

 

劇場版ラブライブサンシャインは輝きの正体を知った高海千歌のその後が描かれる。軌跡のその先の物語、夢の向こう側の物語。

 

 

 

 

劇中、沢山の沼津の風景が描かれていた。Aqoursは沼津から生まれたのだと改めて認識させるように。私は6回ほど沼津を訪れたことがあるためか、劇中の背景はその殆どが見知った景色であった。リアリティと言うと少しニュアンスがずれる。見知った景色の中を駆け抜けるAqoursの姿を見た時、まるであちらの世界の延長線上にいるかのような親近感に似た心地よさを感じた。

 

 

 

私はTVシリーズの2期はラブライブ決勝でAqoursSaint Snowが一騎打ちすると思っていた。予想は見事に外れたわけだけれど、劇場版ではその私の予想が違った形で実現する形となった。物語的に突っ込みどころがないわけでもないが、純粋に熱い展開で嬉しかった。

てか、Saint Snowの網タイツ、あれは法令違反でしょ。スクールアイドルで網タイツはちょっと破廉恥すぎませんか。佐藤日向の網タイツを想像すると…あっっっっっ!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


閑話休題

 

 

 

劇中、高海千歌が言っていたように、再スタートってのは「0」になることじゃない。

 


道は自分の前に延々と伸びている。それは平坦なものばかりではない。上り坂もあれば下り坂もある。分かれ道だってある。大変な道のりが予想される。

 


けれど、軌跡はずっと自分の胸の中にあるし、それは糧となり必ず自分を支えてくれる。始まりもなければ終わりもない、道はずっと続いているのだ。

 

 

 

 

 

 

パンフレットで酒井監督がこんなことを言っていた。

 


「世界は変わらないように見えても、自分が変われば世界は変わるんだ。」

 

 

 

冒頭の冒険譚。多分、少年は魔王がいたから激動の日々を送れたわけじゃない。自身の足で立ち上がったからこそ激動の日々を過ごすことになったのだと思う。新しい一歩は自分を変え、そして世界は変わる。大事なのはコンテンツ(魔王)ではなくて自分の心の持ちようなんだなってことですね。

 

 

 

既にAqoursが言っているように、叶えた夢の先に何があるかといえば、単純な話、新しい夢があるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2000年代後半以降のアニメは儚く尊い物語が増えた印象がある。具体的に言うと、結末に自己犠牲を描く物語が多かった。誰かのために自身を尽くそうとするその精神は崇高だ。その精神は観る者の心を震わせ、胸を熱くさせる。人が人を想うことの儚さ尊さを再確認すると同時に、その純粋な人の強い想いに酷く焦がれることになる。

 


誰かを強く想う意思は輝かしく眩しい。その意思はダイヤモンドのようだ。何からも侵略されず、硬く、気高い。しかし一方で脆く淡い。

 

 

 

 


2010年代後半以降のアニメは自己探求の物語が増えた印象だ。様々な界隈において主人公が自己実現のために獅子奮闘する物語がよく描かれていた。

 


時代の流れなのか、主人公の生き様を通して視聴者である自身の未来を問われる作品が続出した。

 

 

 

 


私は物語が大好きだ。どんな時も空想の世界へ誘ってくれる物語が大好きだ。"だから"と言うべきか"しかし"と言うべきか、私は別に物語にメッセージ性を求めていない。勿論、メッセージ性のある物語があるならばそのメッセージ性は真摯に受け止めるつもりだ。ただ、物語とはあくまでエンターテイメントであるものだし、楽しければそれで良いと私は考えている。

 


そういう意味ではラブライブサンシャインは私の求めていた物語ではなかったが、今となってはラブライブサンシャインをなしに自分を語ることは難しいほどだ。それほど衝撃的な作品だった。

 


ど直球のメッセージは時に私を悩ませた。それでも前を向こうと強く思えた。自分も頑張ろうと強く思えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ただね、理屈じゃないんですよ。物語の文脈とかメッセージとか、そういうんじゃないんですよ。

 

 

 

 


正直に言います。劇場版のラスト、"Next SPARKLING"が流れた時、私は

 


「終わらないでくれ」

 


と思ってしまった。

 

 

 

どうしようもなく寂しくて寂しくて寂しくて寂しくて、仕方がなかった。Aqoursの活動はまだまだ続くけど、それでも、物語に一区切りついてしまった事実を直視できない自分がいた。

 


無重力空間に放り出されたような浮遊感が私を包んだ。

 

 

 

ただ、寂しい。

 

 

 

わかりますよ、前を向かなきゃダメだって。メッセージを真摯に受け止めて、現実を精一杯謳歌する。高尚なことです。人生万歳!!!!

 


私も虹の向こう側に行かなくてはならないんですよ。それでも、それでも、

 

 

 

 

 

 

 

 

 


今は少しだけ感傷に浸らせて下さい。